#01「コーンの缶の底に残るコーンになりたい」
いま、液体の中で何粒かのうちの1粒になるくらいなら、
残されても嫌われてもコーンの缶の底にのこるコーンになりたい。
個性って大切。
学校では「みんなちがって、みんないい。」そんなことを教えるのに
なんだかんだ、出っ張った釘は打たれるシステムになっている。
友達に嫌われないよう、先生にほめられるよう、親に迷惑をかけないよう、
高校生までの自分は飲みたい時に素直に入ってくるスープの中のコーンでいるよう努力した。
それは何も変わらない日々。
高校受験の面接で答えた「あなたの長所はなんですか?」
当たり障りもない人生を過ごしてきたから、スープに流されて何を言ったかすら思えていない。
自分の味を出すのが怖くて、スープの中に隠れていた私は
そんな中、美術系の大学に進学することにした。
別に個性を伸ばしたい訳じゃないし、自分を変えたいなども一切なかった。
ただ単に勉強するくらいなら、ものを作るのが好きだったし
そういうことで4年間を過ごせれば楽しいな程度だった。
しかし、いざ入学すると、そこにはちょっと癖があって主張の強い缶の底に残るコーンの様な人ばかりだった。
それぞれ個性という武器を持っていて、缶の底にいてもなんだか食べたくなるほど魅力的。
缶の底に残った人々は何より強い自分の意思をもっていた。
一部の人は置いて行かれて底に残った人もいるのかもしれないが、
しっかり底でのアピールの仕方を知っていて、自分のものにしていた。
流されていた自分が恥ずかしくなって、わたしも缶の底で主張してみることにした。
たまに嫌がられたり、時には捨てられたりすることもあったけど、
頑張ってやっと出てきたコーンは、なんだかおいしい。
私はこれからも缶の底で主張し続ける。
1章節が1曲のような「祐介」はまるでCDアルバムのような本だった。
その魅力を伝えるため、CDアルバムのような形の書評にしました。
後藤 優佳
